昨年の10月まで官房長官を務める中で、私にとっての大きな仕事は、新型コロナウイルルスへの対応でした。厚生労働大臣の時から最前線に立って、この問題に立ち向かってきました。

 感染拡大防止のための自粛と経済・社会機能の維持のバランスをいかに取っていくのか、試行錯誤の毎日でした。決め手はワクチン接種との思いで取り組み、皆さんの協力を得てワクチン接種が大幅に進み、感染者数は想像していた以上に激減しました。

 10月の衆院選の期間中に、地元を選挙カーで回っていた時に、ご婦人がわざわざ自転車を降りて、「本当にありがとうございました。加藤さんや菅総理のおかげで感染も収まってきました」と言葉をかけてくれました。本当に心に響きました。

 衆議院選挙後においては、毎年秋から年末にかけて翌年度の税制のあり方を決めている党の税制調査会で、小委員長を務めています。令和4年度の税制改正では、積極的に賃上げする企業を税制で支援いくことにしました。住宅ローン減税についても、省エネ住宅への転換を促す見直しなどを行いました。

 また、今後の社会保障制度のあるべき姿を検討する党の社会保障制度調査会の会長にも就任しました。医療では、様々な治療の価格表ともいえる「診療報酬」の新年度の改定のあり方について、看護師をはじめ医療従事者の皆さんの処遇改善、かかりつけ医機能の充実などの観点から議論をし、改定に反映しました。

 新型コロナ対応の中で、日本の医療のデジタル化の遅れを実感しました。データを入力すれば、そこから治療や予防など様々な分野での活用ができるよう、レセプトの標準化など、そのための基盤整備に向け医療のデジタル化を進めます。 介護や年金についても、安心して老後が暮らせるよう、しっかりと方向性を示していきます。

  官房長官時代から、子どもや子育て世帯の視点に立って子供に関する政策をもう一度抜本的に見直すべきだとの思いで、有識者の皆さんも交えて議論を行ってきました。昨年末には、党の「こども・若者」輝く未来実現会議の座長として、「こども家庭庁」の創設を含む政府のこども政策の基本方針案に対し、党側の様々な意見を調整し、反映させました。今年は、「こども基本法案」の国会提出に向け、党内、そして与党間の取りまとめを図ります。

 皆さんにとって、昨年、一昨年は、新型コロナウイルスで本当に大変な2年間であったと思います。しかし、そうした間にも、日本も、社会も変化しています。デジタル化や脱炭素化に向けての取り組みも進んでいます。壬寅の年は、厳しい冬を越え、新しい成長の礎となる年とされています。新型コロナウイルス禍の中であらためて痛感した人と人との繋がりを大事にしつつ、一人一人が夢や希望を一歩でも前に進めることのできる社会を目指します。

 加藤勝信